パリに1年間交換留学する、とある慶應生の雑記へようこそ。
今回は効率よく言語を学びたいと思っている全ての言語学習者に届けたい内容となっております。
言語能力二分法
よく「ある言語ができる」と「ある言語ができない」の二択で人を分けようとすることがありますが、これは言語学習においては避けるべき考え方です。
当たり前ですが言語は一日でできるようになるものでもないし、ある日突然「できない」から「できる」になるものではありません。でもこの当たり前を意識しておかないと、「一週間で、一ヶ月で急激に、不思議なほどに!」みたいな本を買ってしまい挫折を続けてしまうわけです。
目標設定を明確にしよう
そうは言ってもコツコツ続けましょう、と言ってしまうのは誰でもできるので目標設定について考えてみましょう。目標が何かを意識することで自ずと何をすればいいのかが見えてくる、ということです。そして、漠然と言語が「できる」という領域を目指すことから脱却し、何がどのくらい「できる」状態を目標としているのかを定めて学習に向かうことができるようになりましょう。小学生でも日本語は話せていますし、あなたも日本語を話せています。若者しかわからない言葉や地方の人しかわからない言葉もあります。言語というものはそれだけ多様で、漠然と学習を続けていてはなかなか目標に辿りつけないのです。もちろん必要性に迫られれば、例えばあなたがいきなりどこかの国に移住してその国の言語を使ってコミュニケーションを取らなければいけない状態になればある程度までは話せるようになります。しかし多くの人にとってそんな状況は稀で、ある程度は合理的に計画を立てて自分から言語を学ぶ環境を作っていかなければなりません。そんな時に重要なのが目標をしっかりと設定することなのです。
ここまでで私が言いたいことは終わりなのですが具体例を示して置きたいと思います。
陥りがちな罠
多くの人が英語を学んでいますが、目標はあるでしょうか?
英語学習の目的として世界的に大きなグループの一つは、キャリアアップに向けて英語力を向上させようとしている場合です。英語がビジネスの共通語として世界中で使われていることは言うまでもないでしょう。では、Netflixでアメリカのドラマや映画を見まくって単語を覚えることは目標に近づく手助けになるでしょうか?もちろん、長期的には幅広い語彙を身につけて自然に使えるようにしていくことが言語学習のステップになってきますし、もしそれが好きなのであれば英語に長時間自然に浸れるという強みになりますが、忙しい中でキャリアアップのためにする英語学習はアメリカ英語の俗語を覚えたり、サスペンスの特殊な用語に触れることとは乖離しています。確かになんだか耳が慣れてきて英語力がアップしたような感覚になってしまいがちですが、実際に考えてみるとプレゼンや会議での発言に役立つ学習はあったでしょうか?言語は、語彙や状況に異なるということを再確認する必要があります。日本語でも(日本語の尊敬語や謙譲語は英語と比べてかなり複雑ですが)仕事で使う言葉と、家族や友達、そしてドラマに出てくる言葉が違うことを私たちは知っています。TOEICはビジネス向けに作られているテストなのでその教材を活用することでビジネスの環境にあった英語を学習することができますし、「自分は今ビジネス英語を向上させるために英語を学習したいんだ」という目標意識を持ちながら生活することで選ぶ教材や、英語学習の行動も明確になってくるはずです。
ここからは今回のテーマとは関係ないことです。↓↓
趣味としての言語学習
特に言語学習を純粋な趣味として楽しんで続けている私は時々思うのですが、グローバル言語としての英語はビジネスや学問の面で使用する目的で勉強している人が多いからか、より正しいものが良いとされ、そのレベルを他人と比較したがる現象を生む傾向があると感じます。このような構造は言語をより「お勉強」に近づけてしまうので、結果としてモチベーションを保ちにくい学習環境が揃いがちです。私の願いは、より多くの人が言語を楽しんで学習できるようになることです。英語はどこの国公用語ですか?それらの国の文化や人にはどんな特徴がありますか?どんなバラエティがありますか?流行は?
現在グローバルに使われる英語は「作業言語」として使われることが多くなっています。目標設定に向かって学習する(例えばビジネス英語を向上させる)と同時に、人が話し、文化を形成するのが言語であるということを忘れずに遠回りしながら、というよりそもそも、目標を持たずに学びたい言語が取り巻く世界を歩き回るのも言語学習の一つのあり方だということを主張したいです。